経理・総務担当者必見!無料経費精算ツールで経費申請・承認を効率化
手間のかかる経費精算業務、無料でどこまで効率化できる?
中小企業において、経費精算業務は経理・総務部門の大きな負担となりがちです。社員からの申請を受け付け、内容を確認し、承認し、会計システムに入力するといった一連の作業は、手作業やExcel管理では多くの時間と労力を必要とします。特に、外出の多い営業担当者からの申請や、領収書の確認、承認のための押印など、時間と場所の制約も課題となります。
会社のITコスト削減をミッションとされる経理・総務担当者様にとって、業務効率を維持・向上させつつ、この負担を軽減する方法はないかと検討されているのではないでしょうか。
最新のクラウドツールは多機能で便利そうだけれど、費用もかかるし、導入や運用も難しそう…そうお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実は経費精算業務にも、無料または非常に低コストで利用開始できるツールが存在します。
この記事では、中小企業の経理・総務担当者様が、無料の経費精算ツールをどのように活用できるのか、そのメリットや無料版で利用できる機能の範囲、そして利用にあたって注意すべき点について、分かりやすく解説いたします。コストを抑えながら経費精算業務の効率化を目指すための参考にしていただければ幸いです。
なぜ無料経費精算ツールが中小企業の経費業務に有効なのか
無料または低コストの経費精算ツールを導入することは、中小企業にとっていくつかの大きなメリットをもたらします。
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ITコストの大幅な削減: 多くの無料ツールは、導入費用や月額の利用料がかかりません。これにより、新たなシステム導入にかかる予算の確保が難しい中小企業でも、コスト負担を抑えながら業務効率化に取り組むことができます。特に有料版と比較すると、その差は歴然です。
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経費精算業務の効率化: 無料ツールでも、基本的な経費申請・承認プロセスをデジタル化できます。
- 申請者の負担軽減: スマホで領収書を撮影して添付したり、交通費を自動計算したりする機能があれば、申請者は場所を選ばずに素早く申請できます。手書きやExcel入力の手間が減ります。
- 承認者の負担軽減: システム上で申請内容と領収書画像を確認し、クリック一つで承認できるようになります。承認のためにオフィスに戻る必要がなくなったり、差し戻しもスムーズに行えたりします。
- 経理担当者の負担軽減: 集計や確認作業がシステム上で完結しやすくなります。データの検索や抽出も容易になり、手入力によるミスを減らすことが期待できます。
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ペーパーレス化の推進: 領収書のスキャンや画像添付により、紙の領収書の提出や保管の手間を削減できます。ファイリングや保管場所の確保といった総務的な負担も軽減されます。
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リアルタイムな経費状況の把握: ツール上で申請状況や承認状況を確認できるため、今月・今期にどのくらいの経費が申請・承認されているのかをリアルタイムに近い形で把握しやすくなります。
これらのメリットは、無料版の範囲内でもある程度の効果が期待できます。特に、これまで完全に手作業やExcelに依存していた場合は、大きな変化を感じられるでしょう。
無料版で利用できる機能と知っておくべき限界
無料の経費精算ツールと一口に言っても、提供される機能には幅があり、多くの場合、無料版には一定の機能制限や利用制限があります。無料版で一般的に利用できる機能と、その限界について理解しておくことが重要です。
無料版でよく提供される機能:
- 基本的な経費申請・承認機能: 従業員が経費項目(交通費、交際費など)を選択し、金額を入力、必要に応じて領収書画像を添付して申請、上司がシステム上で承認するという基本的な流れは無料版でも利用できることが多いです。
- 領収書画像の添付: スマートフォンなどで撮影した領収書の画像を申請に添付する機能。これにより、紙の領収書を後で提出する手間を省けます。
- 申請ステータスの確認: 申請中、承認済み、差し戻しといった現在のステータスを申請者・承認者が確認できる機能。
- データのエクスポート(制限付き): 申請データをCSV形式などでエクスポートできる場合もありますが、項目や期間に制限があることがあります。
無料版でしばしば制限される、または利用できない機能:
- 利用人数・拠点数の制限: 無料版では利用できる従業員数に上限が設けられていることがほとんどです。企業の規模によってはすぐに上限に達してしまう可能性があります。
- 申請件数・保存容量の制限: 月間や年間で申請できる件数、またはアップロードできる領収書画像などのデータ容量に制限がある場合があります。
- 複雑な承認フローの設定: 申請金額や経費項目によって承認者を自動的に変更する、複数人の承認が必要といった、複雑な承認フローの設定は有料版限定のことが多いです。無料版では簡易的な一律の承認フローのみとなる場合があります。
- 交通系ICカード連携・乗換案内連携: ICカードリーダーでの履歴取り込みや、乗換案内サービスとの連携による交通費自動計算など、入力の手間を大幅に省く機能は有料版の目玉機能であることが多いです。
- 会計ソフト連携・振込データ作成: 会計ソフトへの仕訳データ連携や、銀行への振込用データの自動作成など、経理担当者の最終的な処理を効率化する機能も有料版であることが一般的です。
- 領収書読み取り(OCR機能): 領収書画像を自動で読み取ってデータ化する機能(OCR)は、無料版では利用できなかったり、月に数件までといった回数制限があったりすることが多いです。
- レポート・集計機能の詳細: 経費の使用状況を部門別や勘定科目別で詳細に分析するレポート機能は、有料版で提供されることが多いです。
- サポート体制: 無料版ユーザー向けのサポートは、FAQやコミュニティフォーラムのみで、メールや電話での個別サポートは受けられないことがほとんどです。
- 広告表示: ツールによっては、無料版利用時に広告が表示される場合があります。
無料ツールを選定する際は、「無料だからとりあえず使ってみよう」ではなく、「自社の経費精算業務で最低限必要な機能が無料版で利用できるか」「無料版の制限が自社の運用で許容できる範囲か」をしっかりと見極めることが重要です。
無料経費精算ツールのメリット・デメリット(まとめ)
ここまで解説した内容を踏まえ、無料経費精算ツールのメリットとデメリットを整理します。
【メリット】
- コストをかけずに導入できる: 初期費用やランニングコストがほぼゼロで、ITコスト削減に大きく貢献します。
- 手軽に試せる: 有料版と異なり、契約のハードルが低いため、まずは試験的に導入して効果を確認しやすいです。
- 基本的な業務効率化は可能: 申請・承認のデジタル化による入力・確認の手間削減、ペーパーレス化といった効果が期待できます。
- 場所を選ばずに申請・承認: クラウド型のツールであれば、インターネット環境があればどこからでもアクセスできます。
【デメリット】
- 機能制限が多い: 特に会計連携、自動入力、複雑な承認フロー、詳細な分析機能などが有料版に限定されることが多いです。
- 利用人数や申請件数に上限がある: 企業の規模によっては、すぐに無料版の制限に達してしまう可能性があります。
- サポート体制が限定的: 問題発生時のサポートが受けにくい場合があります。
- セキュリティに関する確認が必要: 無料だからといって安易に利用せず、どのようなセキュリティ対策が取られているか(データの暗号化、アクセス制限など)を自身で確認する必要があります。
- 将来的な拡張性に不安: 無料版から有料版へのスムーズな移行が難しい場合や、機能不足が解消されない場合があります。
無料ツールはあくまで「無料で利用できる範囲」に留まることを理解し、自社の業務フローや規模、将来的な拡張の可能性も踏まえて検討する必要があります。
ツール選定と導入の際に中小企業が考慮すべきポイント
無料経費精算ツールの導入を検討するにあたり、特に中小企業の経理・総務担当者様が確認すべきポイントをいくつかご紹介します。IT部門がない中でご自身で選定される場合に役立つ視点です。
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現在の経費精算フローとの適合性: 自社の経費規程や承認ルールに、無料版の機能で対応できるかを確認してください。例えば、申請者→課長→部長→経理担当者、といった承認フローが無料版で設定できるか、金額による承認者の変更は必要か、などです。現在の業務フローをそのままツールに乗せ換えられるか、それともツールに合わせてフローを変更する必要があるかを検討します。
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使いやすさ: ツールを利用するのは経理・総務部門だけでなく、全従業員です。申請者にとって入力が簡単か、領収書の添付はスムーズか、承認者にとって確認・承認しやすい画面構成かなど、利用者全員にとっての使いやすさが定着の鍵となります。無料トライアル期間などを活用して、実際に操作感を確認することをおすすめします。
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自社の規模と無料版の制限: 無料版で設定されている利用人数や申請件数、データ容量の上限が、現在の自社の従業員数や月の申請件数に対して十分かを確認します。すぐに上限に達してしまうようであれば、運用でカバーするのか、最初から有料版を検討するのか判断が必要です。
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セキュリティ体制: 経費情報には従業員の個人情報や会社の財務情報が含まれます。無料ツールであっても、データがどのように管理・保護されているか(暗号化、アクセス権限設定、サーバーの場所など)について、ツールの提供元が公開している情報(プライバシーポリシーや利用規約など)を確認することが重要です。必要であれば、提供元に問い合わせることも検討してください。
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既存システムとの連携(将来を見据えて): 現在の無料版では会計ソフトとの連携機能がなくても、将来的に会計ソフトへの仕訳入力を効率化したいと考えるかもしれません。その場合、検討しているツールが有料版で会計ソフト連携に対応しているか、あるいはデータ出力形式が既存の会計ソフトに取り込める形式かなどを確認しておくと良いでしょう。
これらのポイントを踏まえ、複数の無料ツールを比較検討することが、自社に最適なツールを見つけるための第一歩となります。
無料経費精算ツール活用の注意点
無料経費精算ツールの導入はコストを抑える魅力的な選択肢ですが、いくつか注意しておきたい点があります。
- 機能の限界を理解する: 無料版には必ず限界があります。その限界を理解せずに導入すると、「思っていた機能が使えない」「結局手作業が減らない」といった結果になりかねません。無料版で何ができて何ができないのかを事前にしっかりと確認し、その範囲内でどのように運用するかを計画することが重要です。機能不足な部分は、手作業で補うのか、別のツールで補うのか、あるいは思い切って有料版を検討するのか、といった判断が必要です。
- サポート体制に過度な期待をしない: 無料版ユーザー向けのサポートは限定的です。操作方法やトラブルシューティングで困ったときに、すぐに回答が得られない可能性があることを想定しておく必要があります。FAQやユーザーコミュニティを活用できるか確認しましょう。
- セキュリティに関する責任を理解する: クラウドツールを利用する場合、データの管理責任の一部はツール提供元にありますが、アカウント管理や従業員への適切な利用ルールの周知といった面では、利用する企業側の責任も発生します。例えば、安易なパスワード設定による不正アクセスリスクなどが挙げられます。ツール提供元のセキュリティ対策を確認するとともに、社内での利用ルールを明確にし、従業員に周知徹底することが大切です。
- 導入前にテスト運用を行う: 少人数の部署や特定の申請項目に絞って、まずは無料版でテスト運用してみることをおすすめします。実際の業務で使ってみることで、使いやすさや自社の業務フローとの相性、無料版の制限が許容できる範囲かなどを具体的に確認できます。
まとめ:賢く選んで経理・総務業務の負担軽減を
無料の経費精算ツールは、中小企業がITコストを抑えながら、煩雑な経費精算業務の効率化を図るための有効な手段となり得ます。手書きやExcelでの管理と比較すれば、申請・承認のデジタル化によるスピードアップや、ペーパーレス化といったメリットを享受できる可能性があります。
しかし、無料版には機能や利用人数に制限があり、サポート体制も限定的です。導入にあたっては、「無料版でどこまでできるのか」「自社の業務フローや規模に合っているか」「セキュリティは十分か」といった点を慎重に検討することが重要です。
複数の無料ツールを比較し、可能であればテスト運用を行いながら、自社にとって本当に役立つツールを見つけてください。無料ツールを賢く活用することで、経理・総務部門の負担を軽減し、より重要な業務に集中できる環境を整える一助となることを願っております。